主婦のオーストリア生活記~in Graz~

夫の仕事でオーストリアのグラーツに行くことになったアラサー主婦。 オーストリアに行くまでと行ってからの奮闘記。

オーストリアで体外受精 (IVF) をしたときの流れ

前回の記事でオーストリアでの不妊治療について触れたので、今回は実際の流れについての覚書です。日本での知識や経験なしに進んだこともあり、私自身の備忘録がてらのまとめになります。

オーストリアでの体外受精 (IVF) のおおまかな流れは以下です。

体外受精に向けたカウンセリング

体外受精に必要な検査結果を提出し、体外受精の方針を決めました。といっても何がいいのか初見では分からないことも多く、先生の意見を聞いて納得の上それに従いました。

方針が決まると早速採卵に向けたスケジュールが書かれた紙をもらい、そこに手書きで必要な薬の量や通院のおおまかな流れが記入されました。それに沿って自己注射を始めました。

料金の支払い

体外受精の方針が決まると、まず最初に料金を支払います。IVF Fondsによる助成金を差し引いたあとの金額です。私の病院では当日カードで支払いか、銀行振込が選択できました。

薬の受け取り

病院内の施設で採卵に向けた薬をもらいます。私は卵胞を育てる薬としてPuregonとDecapeptyl、排卵を促す薬としてPregnyl、黄体補充にUtrogestanを処方されました。

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血液検査

自己注射による卵巣刺激を始める前に、血液検査をしました。ここで問題がなければ数日後から自己注射がスタートします。自己注射に関してはとくに凝った指導はなくYouTubeにたくさん動画が上がっているのでそれで勉強するように、とのことでした。

超音波検査

採卵までに複数回通院し、卵胞の育ち具合をチェックしました。私は自己注射を始めてから採卵までの2週間ほどの間に3回通院しました。この3回の通院は採卵1週間に集中していました。おそらく日本でも同じような通院頻度になるかと思うので、仕事をしている場合には不妊治療との両立は難しいであろうと感じました。

採卵

採卵日の2日前の夜に排卵を促す薬を自己注射し、採卵に備えます。採卵当日は夫と行く必要があり、静脈麻酔での採卵でした。採卵中は眠くなるだけで感覚はあるとのことでしたが、私は先生からの始めますの声掛けと同時に夢の中でした。

気付けば採卵後のリカバリー室におり、夫がベッドに横たわる私の傍にいました。先生も驚くほど良く寝ていたそうです(笑)。最後に先生から注意事項などを聞いて終わりでした。幸い採卵後はとくに痛みもなく、普通にトラムに乗って帰宅しました。採卵後の注意事項としては、水をたくさん飲むようにとのことでした。

受精確認

受精結果は採卵翌日に電話にて確認しました。さらに2日後に受精卵に関して連絡があり、採卵から5日後に受精卵を戻すことになりました。

移植

移植は採卵時と同じ部屋で行われ、当時は夫も同席が可能でした。移植後は妊娠したつもりで行動するようにとのことで、残りの受精卵は凍結されたことをこのとき教えてもらいました。

妊娠判定

移植から2週間後が妊娠判定日でした。朝に病院で尿検査と血液検査があり、妊娠検査薬にて陽性であったことを教えてもらいました。昼頃先生から血液検査の結果について連絡があり、今後の流れについても簡単に話しました。

内診

妊娠判定日からさらに2週間後に病院で内診があり、心拍が確認できました。不妊治療のために通った病院はここで終わりのため、次回からは産婦人科へ行くように言われました。凍結された受精卵は10年間無料で保存されるとのことでした。

処方された薬やスケジュールを見るところ、私はアンタゴニスト法による新鮮胚移植を行ったと思います。日本語で説明を受けたわけではないので定かではありませんが、そのつもりで日本のサイトをチェックしたりしていました。また、処方された薬は初めて見るものばかりで少し不安だったので、海外で体外受精をされた方のブログなども参考にしていました。ちなみに出産後しばらくしてIVF Fondsからアンケートのようなものが届き、無事に出産に至った旨を記載して返信する必要があります。

所感

体外受精をすると決めて必要な検査を受けてから、実際に採卵や移植をするまではあっという間でした。受診したタイミングも良かったのか早々に自己注射が始まった印象です。そのため考えすぎる時間があまりなかったのはよかったように思います。

通院時は基本的に夫も一緒に通院し、自己注射は自分で打つのが怖かったので毎晩夫に打ってもらっていました。オーストリアで治療したからこそ二人で取り組めたことが多くあり、私たち夫婦にとって良い経験になったと思います。そう思うと、日本で体外受精を行うことはなかなかハードルが高いなとも思います。